くらしラボPlus 運営者の「まっしゃん」です。
ゴールデンレトリバーやラブラドール、バーニーズマウンテンドッグといった大きなワンちゃんたちに囲まれて暮らす生活。犬好きの方なら、一度はその光景に憧れを抱いたことがあるのではないでしょうか。
でも、いざ「大型犬の多頭飼い」を本気で検討し始めると、ふと我に返ってこんな不安が頭をよぎるはずです。「本当に今の経済力で養えるのかな?」「散歩や世話が想像以上に大変で、生活が破綻したらどうしよう…」と。
実際、大型犬を複数頭飼育するということは、単に「可愛さが2倍」になるだけの話ではありません。費用も労力も2倍、いや、それ以上に膨れ上がる現実が待っています。この記事では、そんな夢と現実の狭間で揺れる方のために、私が徹底的にリサーチして見えてきた「大型犬多頭飼いのリアルな負担」と「事前に知っておくべき深刻なリスク」について、包み隠さずシェアします。

👉記事のポイント
- 1 食費や医療費など年間100万円規模に達する費用の現実
- 2 毎日の散歩やトイレ掃除にかかる肉体的な負担と時間
- 3 賃貸物件探しや移動用の車選びなど環境面の高いハードル
- 4 老犬介護や災害時に直面する避けては通れない深刻なリスク
大型犬の多頭飼いはなぜ大変なのかという現実的な課題
大型犬が家に2頭以上いる生活は、まさに野生の「群れ(パック)」と暮らすようなものです。その圧倒的な存在感と深い愛情表現は素晴らしいものですが、現代の都市生活において直面する物理的・経済的な壁は、小型犬の多頭飼いとは次元が異なります。まずは、具体的に何がどう大変なのか、数字や実例を交えて見ていきましょう。
- •食費や医療費など費用の現実
- •賃貸マンション探しの難易度
- •毎日の散歩は重労働で大変
- •必要な車の大きさとケージ積載
- •老犬介護が重なる深刻な事態
食費や医療費など費用の現実は想像以上

まず最初に、そして最もシビアに直面するのが「お金」の問題です。大型犬は体が大きい分、全てのコストが質量に比例して増大します。「なんとかなる」で済ませられる金額ではないのが現実です。
食費の基本構造
大型犬の基礎代謝量は凄まじく、一般的なドッグフードを選んだとしても、体重30kgクラスの犬なら1頭あたり月1.5万円〜2.5万円はかかります。これが2頭なら単純計算で月3万円〜5万円。年間だと食費だけで40万円〜60万円にも達します。
さらに、アレルギー対応の療法食やプレミアムフードを選ぶ場合、この金額はさらに跳ね上がります。
体重別課金される医療費の恐怖
そして最も恐ろしいのが「医療費」です。動物病院での薬代(抗生物質、麻酔薬など)や予防薬は、基本的に体重(kg)あたりの単価で計算される「体重別課金」システムです。
| 項目 | 大型犬1頭あたりの目安 | 2頭の場合の年間コスト |
|---|---|---|
| フィラリア予防(年8ヶ月) | 約1.5万円〜2.2万円 | 約3万円〜4.5万円 |
| ノミ・ダニ予防 | 約1.6万円〜2.4万円 | 約3.2万円〜4.8万円 |
| 混合ワクチン | 約0.5万円〜1万円 | 約1万円〜2万円 |
このように、病気をしていない健康な状態でも、予防薬などの維持費だけで年間10万円近くが飛んでいきます。アニコム損保の調査によれば、犬全体の年間飼育費用は約41万円とされていますが、大型犬2頭の場合はその2〜3倍を見積もっておく必要があります。
(出典:アニコム損害保険株式会社『2024最新版 ペットにかける年間支出調査』)
注意点:トッピング代も侮れません
大型犬あるあるですが、ドライフードを食べてくれない時にササミやウェットフードをトッピングする場合、その消費量も半端ではありません。1日数十円の差でも、チリも積もればで年間数万円〜10万円の出費増になる可能性があります。
トリミング代(長毛種なら1回1.5万円×2頭など)やトイレシーツなどの消耗品費も含めると、大型犬2頭の年間維持費は100万円〜120万円を覚悟する必要があります。これは地方なら家賃や住宅ローンが払えてしまう金額です。
賃貸マンション探しの難易度と騒音問題

「お金には余裕がある!」という方でも、次に立ちはだかるのが「住む場所」の問題です。日本の賃貸市場において、「大型犬可」かつ「多頭飼い可」の物件はユニコーン並みに希少です。
私もリサーチしてみましたが、都内近郊の物件検索サイトで「ペット可」にチェックを入れても、備考欄を見ると「小型犬または猫1匹まで」という条件が大半です。大型犬2頭OKの物件が見つかったとしても、以下のような厳しい条件が突きつけられることがほとんどです。
- 家賃が相場より数万円高い
- 敷金が3〜4ヶ月分積み増しされる
- 退去時の原状回復費用が全額借主負担(特約)
騒音よりも深刻な「振動」問題
なぜここまで敬遠されるのでしょうか。その主たる理由は、鳴き声などの「騒音」よりも、防ぎようのない「振動」にあります。
体重30kg〜40kgの犬がソファから飛び降りた時の「ドスン!」という重量衝撃音や、2頭でじゃれ合って室内を走り回る時の地響きのような振動は、防音マット程度では完全に防ぐことができません。これが階下や隣人への重大な迷惑となり、トラブルに発展するケースが後を絶たないのです。
そのため、マンションでの飼育は極めて難易度が高く、現実的には郊外の戸建て賃貸を探すか、持ち家を用意することが求められます。
毎日の散歩は重労働で大変な肉体労働

大型犬の散歩は、優雅なウォーキングとは程遠い、まさにスポーツであり肉体労働です。体重30kgの犬2頭を連れて歩くということは、合計60kgの生物のパワーを制御するということです。
もし散歩中に、2頭が同時に猫や他の犬を見つけて突進したらどうなるでしょうか?その瞬発的な牽引力は凄まじく、成人男性でも転倒したり、アスファルトの上を引きずられたりする危険があります。私なら間違いなく腰を痛める自信がありますし、最悪の場合、飼い主が怪我をして入院…なんてことになれば、誰が犬の世話をするのかという問題も発生します。
散歩を安全に行うための必須装備
- 多頭引きリード(カプラー):2本のリードが絡まるのを防ぐ必須アイテム。回転カン付きがおすすめです。
- ハンズフリーリード:腰や肩に巻くタイプを使用し、両手をフリーにすることで、不意の引きにも体幹で耐えられ、排泄処理もスムーズになります。
排泄物の処理も重量級
また、排泄物の量も半端ではありません。大型犬のうんちは人間のそれと同等以上の量があります。2頭分の排泄物を持ち帰るだけでも、ずっしりと重い荷物になります。雨の日も風の日も、台風が近づいていても、この「重量物運搬」と「パワー制御」が毎日続くのです。これには強靭な体力と精神力が必要です。
必要な車の大きさとケージ積載の物理的限界

大型犬2頭と暮らすなら、移動手段として車は必須です。公共交通機関での移動は事実上不可能だからです。でも、ただ車があればいいというわけではありません。「サイズ」が問題なんです。
安全な移動のためには、犬をクレート(バリケンネルなど)に入れて運ぶのが基本ですが、大型犬用クレート(LLサイズ相当)の寸法は、幅60cm×高さ70cm×奥行90cmほどあります。
これを2つ並べて積もうとすると、一般的なコンパクトカーやセダンでは物理的に不可能です。ステーションワゴンやSUVでも、天井の高さが足りずに入らない、あるいは入っても犬が窮屈で立ち上がれないというケースが多発します。
多くのオーナーが行き着く「ハイエース」
結局のところ、多くの大型犬多頭飼いオーナーが行き着くのが「トヨタ・ハイエース」などの商用バンです。圧倒的な荷室容量があり、大型クレート2つを余裕で積載できるだけでなく、その上に荷物を置く棚を作ったりもできます。ファミリー層であれば、ミニバンの3列目シートを跳ね上げてスペースを作るのが現実的な解となるでしょう。
「ちょっと動物病院へ」という時でも、車に乗せるだけで一苦労。車選びからライフスタイルを根本的に変える必要があるのです。
老犬介護が重なる深刻な事態への懸念

個人的に一番怖いなと思い、覚悟が必要だと感じたのが、将来必ず訪れる「介護」の問題です。大型犬の寿命は10〜12年程度と短く、人間よりもはるかに早いスピードで歳をとります。
もし体重30kg以上の犬が寝たきりになったら、どうなるでしょうか?
- 床ずれ(褥瘡)防止:数時間おきに体位変換(寝返り)をさせる必要があります。
- 排泄介助:自力で立てない犬を抱きかかえてトイレをさせる必要があります。
これは人間の介護と同じか、それ以上の肉体的重労働です。
特に恐ろしいのが、年齢の近い2頭を飼っている場合の「同時介護」リスクです。
1頭の介護だけでも限界に近い労力を要する中で、もし2頭が同時に介護が必要になったり、認知症で夜鳴きが始まったりすれば、飼い主の生活は完全に破綻しかねません。「老老介護」ならぬ「多頭老犬介護」の過酷さは、想像を絶するものがあります。そして、連続して看取ることによるペットロスの精神的ダメージも計り知れません。
大型犬の多頭飼いが大変な時の対策と心構え

ここまで「大変だ、無理だ」という厳しい現実ばかりをお話ししてしまいましたが、それでもやっぱり大型犬の多頭飼いには、何物にも代えがたい魅力があります。しっかりとした対策と準備を行えば、リスクを最小限に抑えることは可能です。ここからは、具体的な対策について考えてみましょう。
- •先住犬との相性と喧嘩のリスク
- •災害時に避難所へ入れない問題
- •飼育崩壊を避ける事前の準備
- •後悔しないための必須条件
- •大型犬の多頭飼いは大変さと隣り合わせ
先住犬との相性と喧嘩のリスク管理
2頭目を迎える際、最も重要な成功の鍵を握るのが「1頭目(先住犬)のしつけ」です。犬は「社会的促進」といって、群れの仲間の行動を観察し、模倣する能力に長けています。
モデリング効果の明暗
- ポジティブな連鎖:先住犬がお利口でルールを守れていれば、新入りもそれを見てトイレの場所や「マテ」などを早く覚えます。
- ネガティブな連鎖:先住犬に「無駄吠え」「引っ張り癖」「攻撃性」などの問題行動がある場合、新入りもそれを忠実に真似してしまい、問題行動が2倍になります。
つまり、1頭目のしつけが完璧に入っていない状態で2頭目を迎えるのは、極めて危険なギャンブルです。また、犬同士の相性も重要です。特に大型犬同士の喧嘩は、本気モードに入ると流血沙汰になり、飼い主が止めに入って大怪我をするケースもあります。相性が悪い場合は、生活スペースを完全に分ける(1階と2階など)必要が出てくるため、家の中がさらに狭くなることも覚悟しなければなりません。
災害時に避難所へ入れない問題への備え
災害大国日本に住む以上、地震や台風のリスクは無視できません。しかし、自治体が指定する一般の避難所では、大型犬2頭を受け入れるスペースがないことがほとんどです。他の避難者への配慮やアレルギーの問題もあり、同行避難はかなりハードルが高いのが現実です。
そこで現実的な解となるのが、自分たちで完結できる「車中避難」の体制を整えることです。
「動くシェルター」としての車
大型犬2頭分のクレートを積んだ状態で、さらに飼い主が足を伸ばして寝られるスペースを確保できる車(ハイエースやキャンピング仕様のミニバンなど)を用意しておくことは、防災対策としても非常に有効です。普段から車中泊に慣れさせておくことも、立派な防災訓練になります。
飼育崩壊を避ける事前の準備と計画
悲しいことですが、多頭飼育崩壊は決して他人事ではありません。「自分は大丈夫」と思っていても、飼い主自身の失業や病気で収入が途絶えた瞬間、月額数万円の固定費が払えなくなり、破綻するリスクがあります。
また、避妊・去勢手術を怠った結果、意図しない繁殖をしてしまい、一気に数が増えて管理不能になるケースも後を絶ちません。適切な医療を受けさせられない状態は、ネグレクト(虐待)と同じです。愛情があるからこそ、自分のキャパシティ(経済力・体力・時間)を冷静に見極めることが、本当の意味での責任ではないでしょうか。
後悔しないための必須条件とは
今回のリサーチを通じて痛感した、大型犬多頭飼いに向いている人の条件をまとめてみました。厳しいようですが、これらはクリアしておくべき最低ラインです。
| 条件 | 具体的な内容 |
|---|---|
| 1. 強固な経済基盤 | 年間100万円以上の支出と、突発的な数十万円の医療費に耐えうる可処分所得があること。 |
| 2. 強靭な体力 | 合計60kg以上の犬を制御し、将来的に介護で抱き上げることができる体力があること。 |
| 3. 適切な環境インフラ | 大型犬可の広さと防音性を備えた住居と、大型クレートを積載可能な車両を保有していること。 |
| 4. 危機管理能力 | 災害時や自身の有事の際に、犬たちの命を守るための具体的なBCP(事業継続計画)を持っていること。 |
大型犬の多頭飼いは大変さと隣り合わせの幸せ

今回は、あえて厳しい現実を中心に「大型犬の多頭飼い 大変」というテーマで深掘りしてきました。お金もかかるし、体力も使うし、家も車も選ばなきゃいけない。正直、生半可な気持ちでは手を出さない方がいい、選ばれし者のライフスタイルだと思います。
でも、その大変さを乗り越えた先にある、2頭の大型犬と野山を駆け回るダイナミックな喜びや、体を寄せ合って眠る姿を見る至福の時間は、何物にも代えがたいものでしょう。重要なのは、大変さを「知った上で準備する」ことです。この記事が、あなたの覚悟を決めるための参考になれば嬉しいです。しっかりと準備をして、最高のパートナーたちとの生活を目指してくださいね!



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